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<title>エル・ティリア</title> 
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<modified>2012-01-15T04:37:03Z</modified> 
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<tagline><![CDATA[オリジナルファンタジー]]></tagline> 
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<title>はじまりの島１</title> 
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  <modified>2012-01-15T04:37:03Z</modified> 
  <issued>2009-11-09 01:02:43+09:00</issued> 
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  <dc:subject></dc:subject> 

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/2009-11-09">
<![CDATA[
<img src="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_9c6/eltiria/09eoki057a.JPG" width="275" height="423" border="0" align="" alt="09eoki057a.JPG" /><br />
　この星の世界<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E5%9C%B0%E5%9B%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">地図</a>は、四つの大陸に囲まれた『オルト海』を中心に描かれる。<br />
　地図を作成する場合、各国がそれぞれ自国を中心に描くのが普通と考えられるがそれにも拘らず、この星のどの国で作られる地図も全て『オルト海』を中心にしている。尤も、その描き方が各大陸の姿や位置関係をわかり易く描けるため、との通説があり、皆それで納得していた。<br />
　この星には大陸が四つあり、それぞれ『北の大陸』、『南の大陸』、『東の大陸』、『西の大陸』と呼ばれていた。<br />
　<br />
<a name="more"></a>　『南の大陸』の南東に、テナンという名の島があった。<br />
　南の大陸の東南を占めるピレア、或いは東の大陸の南半分を占める国・サンセベリアに属していても不思議は無かったが、国として<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E7%8B%AC%E7%AB%8B&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">独立</a>していた。<br />
　国主の館がある街トゥルカには約一万人の市民が住み、その西の港町タリアには約千人、そのすぐ南東の小さな集落カラには数十人の市民が住んでいるだけだったので、テナンは人口約一万一千の小国だった。<br />
　漁業が主な産業であるこの国は、貧富の差が少なく犯罪も少ない平和な島国であったが、島の南端には小規模な『傷』と呼ばれる空間の裂け目があり、そこからあふれ出す瘴気のためにその辺りの森が徐々に闇に染められていくのが問題だった。　<br />
　テナンは島国のため海に囲まれていたが、港はトゥルカの西の港町タリアにひとつだけだった。その辺りだけが船が進入できる深度が確保され、それ以外は遠浅の砂浜だった。<br />
　そのタリアの港に一艘の帆船が入港した。北のサンセベリアからの定期便だ。<br />
　サンセベリア王国の首都・サンスルからの定期便は東と南の大陸の間の狭い水路・トレンドル水道を通り、途中アスレニウムとピレアの国境にまたがる港町・マイトアルシャに寄港してタリアに至る。週二往復の定期便はこの辺境の島には多いと思われがちだが、テナンはトレンドル水道、南レトリア海、パキレウス海と複数の海に囲まれている為周囲は良い漁場となり、新鮮で珍しい魚介類は他国でも珍重され需要が多いため、商人たちにとっては週二往復でも少ないと言われている。勿論定期便はサンスルリアからだけでなく他の国からも就航している。商人たちの希望を叶えようにもタリアの港の規模では一度に受け入れられる船の数が少ない為、現在の状況で我慢するより他はなかった。<br />
　タリアに入港した帆船からは次々と荷が降ろされていく。商人たちも船から降り、下ろされる荷を見守ったり、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E5%95%86%E5%A3%B2&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">商売</a>相手の建物に向かったりし始めた。<br />
　漁業が主産業のテナンには<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E8%A6%B3%E5%85%89&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">観光</a>名所など無いため渡ってくる者はその殆どが商人だった。が、今回はその中に混じっておよそ商人とは言えない姿の二人組みが降りてきた。<br />
　人より大きくとんがった耳を持つエルフと、猫耳としっぽが目を引く獣人の二人組みだった。<br />
　過去には見かける数も多く交流も多かったとされるこの二種族。特にエルフを見ることは今では本当に少なくなってしまっていた。<br />
　深い<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">グリーン</a>を基調とした衣装を纏ったエルフは<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E6%B5%B7%E9%A2%A8&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">海風</a>に長い銀髪を揺らしながら南へ向かう道へと歩いていく。明るい青の瞳はエルフの深い英知を湛えているように見える。<br />
　同行する獣人は短い銀髪とその間から見える猫耳、そしてフサフサのしっぽが動きに合わせて<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%82%86%E3%82%89%E3%82%86%E3%82%89&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ゆらゆら</a>している。こちらはルビーの様に赤い瞳だ。<br />
　二人は勝手知ったるといった風に南への道を進む。<br />
<br />
　町の外れで二人は立ち止まった。<br />
　テナンには山は無い。島の中央が丘になっているが山、と言えるほど高くは無い。その丘と<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E6%B5%B7%E5%B2%B8&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">海岸</a>の間を、タリアから南に向かう道が伸びている。この道は島を一周する道路だ。その道は途中で別れ本道は真っ直ぐ南へ、別れた道は丘の斜面を登ってカラへ至る。<br />
<br />
「じーさんは元気かな？　」<br />
　獣人の少年がそう言うと、<br />
「元気に決まってるじゃない。」<br />
　少年を目だけで見下ろしてエルフの少女がそう返した。<br />
　それから二人は南に向かって歩き出した。<br />

]]> 
</content>
</entry>
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<title>世界地図</title> 
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  <modified>2012-01-15T04:37:03Z</modified> 
  <issued>2009-11-05 19:17:30+09:00</issued> 
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  <summary type="text/plain"> </summary> 
  <dc:subject></dc:subject> 

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/2009-11-05">
<![CDATA[
　エル・ティリア　世界図<br />
<br />
<br />
<div align="center"><img src="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/_images/blog/_9c6/eltiria/09eoki051b.JPG" width="480" height="420" border="0" align="" alt="09eoki051b.JPG" /></div><br />
<br />
　・　国名とその首都の位置<br />
　・　海洋名<br />
<br />
　色付き部分は砂漠地帯<br />
　中央の赤い線は赤道<br />
　フェレーラの回りの渦巻きは渦潮<br />
<br />
<br />
<a name="more"></a>
]]> 
</content>
</entry>
<entry>
<title>プロローグ　～　御前会議　～</title> 
  <link rel="alternate" type="text/html" href="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/2009-10-03" />
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  <modified>2012-01-15T04:37:03Z</modified> 
  <issued>2009-10-03 04:57:26+09:00</issued> 
  <id>tag:blog.so-net.ne.jp,2012:eltiria.15222129</id> 
  <summary type="text/plain"> </summary> 
  <dc:subject></dc:subject> 

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/2009-10-03">
<![CDATA[
　朝の光が木々を照らし、その光を弾く夜露が木々の瑞々しさを際立たせている。<br />
<br />
　その中を通る通路を白い姿が歩いていた。<br />
　青銀の長い髪を揺らして進むのは、とんがった大きな耳が特徴のエルフの少女だった。<br />
　身に纏っている細身の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%B9&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ドレス</a>も白いため、揺らめく陽炎のようだ。<br />
<br />
　少女の後ろから大股に追いついてくる姿があった。<br />
<br />
　黒っぽい焦げ茶の髪に同じ色のヒゲを生やした背の高い、がっしりとした体躯の壮年の男だ。<br />
<br />
「早いですな、エルフの姫よ。」<br />
　男は少女に追いつくとそう声をかけた。<br />
<br />
<a name="more"></a>「…おはようございます、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%A9%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ディラン</a>将軍。」<br />
　少女は驚くこともなく、立ち止まって振り返った。<br />
　空色の瞳が男を見て細められる。大きな耳には桜色の珠が揺れ、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E8%83%B8%E5%85%83&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">胸元</a>には同じ桜色の珠と真珠が<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">デザイン</a>された<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%81&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">ブローチ</a>が止められていた。<br />
<br />
「執政官の正式な呼び出しですもの、早すぎることは無いと思いますけど。」<br />
　少女はわざと、ツンと済ました表情をした。<br />
<br />
「それに、わたしは別に王族ではありませんから。エルフの姫は…　」<br />
　そう言って少女は光の射す東の方を眺めた。<br />
「エルフの姫、と呼ばれるのは、フェレーラの館にいるシェルディアーナ姫だけよ。」<br />
<br />
　ディラン将軍は、釣られるように東の方を見た。<br />
<br />
「…だから～　」<br />
　と、少女は今度は将軍を見上げた。<br />
「わたしのことは名前で呼んでくださればいいのよ。…もう一体何年前からそう言ってるかしらね。」<br />
<br />
「おお…すまぬな。」<br />
　少しもすまなそうではない顔で将軍は笑った。<br />
<br />
　その時、<br />
<br />
「何やってんだよ二人とも。」<br />
　将軍の背後からそう声が聞こえてきた。<br />
「もう集合時間ぎりぎりだぜ。」<br />
<br />
　ディラン将軍は振り返り、やや下のほうを見た。<br />
<br />
　そこには、長くも短くもない銀の髪、その中にぴんと立った猫のような耳、ルビーのような真っ赤な瞳の獣人の少年が立っていた。<br />
　腰の辺りからはフサフサの長いもの…猫の尻尾のような尻尾が、揺れていた。猫が少しイラついている時のように。<br />
<br />
「これはシェルティー殿。」<br />
　将軍はにっこりした。<br />
「そなたにも集合がかかったのか。」<br />
<br />
「ああ。そーだよ。じゃなきゃ朝っぱらからこんな所に来るかよ。」<br />
　シェルティーと呼ばれた少年は、軽くあくびをしてみせた。<br />
「とにかく、早く行かないと、執政官の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E8%A1%80%E5%9C%A7&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">血圧</a>を上げることになるぜ。」<br />
<br />
「おお、そうであったな。」<br />
　そう言って将軍はエルフの少女を振り返った。<br />
<br />
「そうね。行きましょう。」<br />
　少女はそう言ってからシェルティーを見た。<br />
「執政の前であくびはしちゃだめだからね。」<br />
<br />
　シェルティーは少女の言葉に一瞬むっとした顔になったが、<br />
「勿論。………エルシィもな。」<br />
　そう言うと二人を追い越して先に歩き出した。<br />
<br />
　少女―エルシィは将軍と顔を見合わせ、やれやれ、という仕草をすると、将軍と共にシェルティーを追いかけた。<br />
<br />
　白い通路の先には会議棟がある。<br />
　会議棟は二階構造になっていたが、　三人は中に入るとその二階に向かった。<br />
<br />
　指定された部屋のドアを開ける。<br />
<br />
　そこは細長い形の部屋だった。<br />
<br />
　中には細長い<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%AB&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">テーブル</a>があり、左右にそれぞれ<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E6%A4%85%E5%AD%90&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">椅子</a>が十脚ずつ配置され、一番奥に一脚、他の椅子より大きく遥かに立派な椅子が置かれていた。<br />
<br />
　三人で最後のようで、三人分の椅子と、それから一番奥の椅子だけ空いていた。<br />
　テーブルの上には会議中、喉を潤す水差しとコップが並べられていたが、一番奥の席にはコップは置かれず、代わりに小さな箱が一つ置かれていた。<br />
<br />
「ほら、俺達が最後だ。まったく。」<br />
「なによ。あんたはわたし達より遅かったじゃない。」<br />
　シェルティーとエルシィはひそひそと言い合った。<br />
<br />
　ゴホン。<br />
　と咳払いが聴こえ、二人は顔を上げた。<br />
<br />
「そろそろ会議を始めてよろしいかな？　」<br />
　テーブルの左側の一番奥に座っていた、白っぽい長いひげを蓄えた男が言った。<br />
<br />
「…失礼しました、執政官・アデルイア＝トレス。」<br />
　エルシィは優雅に一礼し、三人は自分の席に着いた。<br />
<br />
　ディラン将軍は執政・アデルイアの向かい側、エルシィはアデルイアの二つ隣、更にその隣にシェルティー。<br />
<br />
　席に着いた総勢二十名の中には、エルシィ以外のエルフや、シェルティー以外の獣人もいた。<br />
　エルフの青年は二人、獣人は三人。<br />
　獣人のうち二人はシェルティーと同様に、獣耳と尻尾がある。残り一人は耳は人と同じで尻尾は無い。しかしその背には鷲の様に茶色っぽい立派な翼が生えていた。<br />
<br />
　部屋の中はシン…としている。皆執政官の言葉を待っているのだ。<br />
　自分達を招集したその理由を。<br />
<br />
　少しして、執政官・アデルイアが言った。<br />
「昨夜、箱に反応があった。」<br />
<br />
　おお、と、その場にいる者達が声を上げた。<br />
<br />
　長テーブルの端に置かれている小さな箱を見る。<br />
<br />
「箱に反応が…それでは……　」<br />
「それではとうとう…　」<br />
<br />
　その場の全員が、期待の篭った目で小さな一つの箱を見た。<br />
<br />
「…それにしても、突然なんだな。」<br />
　特に感情の篭らない声で、シェルティーが言った。<br />
<br />
　他の者達は一斉にシェルティーを見る。<br />
<br />
「今までずっと、ずっと調査し続けても手がかりがみつからなかったのに。」<br />
　シェルティーの目は箱を見ているようだったが、実際彼が見ていたのは、調査し続けていたこれまでの時間なのかもしれない。<br />
<br />
「確かに。」<br />
　アデルイアが言った。<br />
「これまで長きに渡り、われわれはずっと調査を行ってきた。そう、長い間。だがこの約三千年間、一度も箱が反応したことは無かった。しかし、昨夜確かにこの箱は反応を示した。」<br />
<br />
「それならば早急に再調査を行いましょう。」<br />
　ディラン将軍の隣に座る、将軍に負けない体躯の獣人が言った。<br />
<br />
　言葉はそんなにいらなかった。だからそれだけで十分だった。<br />
　この会議はここに集まった者に昨夜の現象を伝えるだけが目的だったから。<br />
<br />
　やるべきことは決まっている。<br />
<br />
　会議は終了し、会議室の扉は閉められた。<br />
　<br />
　扉が閉まる寸前、エルシィは一番奥の椅子を見た。<br />
　その前に置かれていた箱は今は無い。<br />
<br />
　会議室のある場所は、この国の城の北の塔の十五階。階段を上って十五階に達すると、そこは一つの屋上のようになっていて、木々が植えられ庭園になっている。通路を外れた所には東屋も設置されていた。<br />
　<br />
　エルシィが会議室に向かっていた時よりも日は既に高く上っており、程なく南の塔の影に隠れようとしていた。<br />
　午後になればまたこの庭園には日が射し始める。<br />
　<br />
　会議室を後にしたエルシィは、朝歩いた通路を今は逆に辿っていた。<br />
　ふ、と、彼女は立ち止まる。<br />
<br />
　「さて、準備をしないとね。」<br />
　そう言ったエルシィは、彼女に合わせて歩みを止めた隣に立つ男を見上げた。<br />
　<br />
　その男は、先程の会議で発言した獣人だった。<br />
　彼は無言で頷いた。<br />
<br />
　「…また苦労をかけるな…すまぬ。」<br />
<br />
　先を歩いていたディラン将軍とアデルイアをはじめ会議に出席していた人間たちが、エルシィたちを振り返った。<br />
　<br />
　「…あら。」<br />
　エルシィはディランたちを見た。<br />
　「この国だけの問題じゃあないんだもの。そんなこと言うことありませんわ。」<br />
　それから、自分の隣の獣人、反対側に立つシェルティー、そして後ろに立つ獣人とエルフ達を見、もう一度ディランたちを見た。<br />
　「わたし達に任せておいてくれるのが、一番………面倒が少なくていいのよ。」<br />
　そう言ってにっこり笑う。<br />
<br />
　「そうだ。」<br />
　シェルティーはそう言うと、伸びをするように両腕を伸ばし、そのまま頭の後ろで腕を組んだ。<br />
　「アンタ達も探索に出よう、なんてことで国から出ちまうと、折角の結界を張りなおさなきゃならなくなるからな。元に戻すのは凄え面倒。だから大人しくここでここを守っててくれてたほうがいいのさ。」<br />
<br />
　二人に同意するように、獣人とエルフ達は頷いた。<br />
<br />
　「…さて。それではさっさと準備をして調査開始ね。」<br />
　エルシィは会議棟を振り返った。　<br />
　「………もう三千年も経ってしまった。この世界が壊れる前にね……」<br />
<br />
<br />
　会議棟には会議のための部屋がいくつかあり、用途によって使い分けられていた。<br />
　この朝使用した会議室は御前会議、王の御前で会議をする場合に用いられる特別な部屋だった。<br />
<br />
<br />
　<br />
　だがいま、この国に王はいない。
]]> 
</content>
</entry>
<entry>
<title>古森</title> 
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  <link rel="service.edit" type="application/x.atom+xml" href="http://blog.so-net.ne.jp/atom/blog_id=339255/entry_id=15215577" title="古森" />
  <modified>2012-01-15T04:37:03Z</modified> 
  <issued>2009-10-02 20:36:17+09:00</issued> 
  <id>tag:blog.so-net.ne.jp,2012:eltiria.15215577</id> 
  <summary type="text/plain"> </summary> 
  <dc:subject></dc:subject> 

<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/2009-10-02">
<![CDATA[
　その森は、この世界で一番古い森と伝えられている。<br />
<br />
　それは旅人を拒む森。<br />
　森に入り真っ直ぐ歩いているつもりでも、出口はいつでも森の入り口。<br />
　元の場所に出てしまう。<br />
　森の中に入るとまるで日の光が届かない夜のように暗くなる。<br />
　木々がうっそうと重なり繁り、森の中に日の光は届かない。<br />
　しかしそれは、人が森に入って真っ直ぐ進んでいるのに元の場所に戻ってしまう理由とはならなかった。<br />
　千年ほど前までは、この古森も旅人を受け入れていたという伝説がある。<br />
　目的を持って入った者も、道に迷って入り込んだ者も、この森は等しく受け入れていたと。<br />
<br />
　　　　　　　　　　*<br />
<br />
　森の中の何処かには人里があり、森の何処から入っても、道はその里に繋がっていた。<br />
　そこは人間の里だったが、エルフや獣人も多く見かけた。<br />
　他の都市から<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E5%A4%A7%E5%88%86&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">大分</a>離れているはずだが、その里人の生活は豊かだった。<br />
　里人は旅人に親切で、寛容だ。<br />
　争いも無く、その里は生活だけでなく里人の心も豊かだった。<br />
<br />
　　　　　　　　　　*<br />
<br />
　そんな伝説があるのに、今この森は旅人を拒んでいた。<br />
　誰も森の中を自由に通れないため、今では森の中の里の話も旅人の間のほら話と思われている。<br />
　魔物がその力で旅人を迷わせている、と言う者もいた。<br />
　が、それはこの古森には当てはまらない。<br />
　この古森に魔物は存在しないからだ。<br />
<br />
<br />
<br />
　その、古森の中。歩を進める人影が二つ。迷い込んだわけではなく、目的を持って歩いているように見える。　あたりを見ながら歩いているのでは無く、真っ直ぐ前だけを見て進んでいるからだ。その足元を注意深く見ると、そこは踏みしめられた後が微かに残っている。過去にもそこを踏みしめて歩いた者がいるのだ。それに気がつけば、二人が歩んでいるところが森の中の道であることがわかるだろう。<br />
<br />
　二人は真っ直ぐ東に向かって歩いていた。二人はそのつもりで歩いていた。急ぎ足ではなく、ゆっくり過ぎることもなく、ただ二人は真っ直ぐ歩いていた。<br />
<br />
　やがて二人の前方に、木々の間に光が見えてくる。歩く二人の間には安堵感が漂った。それでも二人の歩みは変わることは無かった。<br />
<br />
　そうして、視界が開けた。<br />
<br />
　二人の目の前には、白い砂浜と、真昼の太陽に照らされ空の色を移して輝く青い海が広がっていた。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E6%B5%B7%E9%A2%A8&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">海風</a>が、二人が身に着けているマントのフードを膨らませる。<br />
<br />
「・・・海は久しぶりだな。」<br />
　二人のうちのどちらかが呟いた。<br />
<br />
「・・・アンタはそうね。わたしは時々来るけどね。」<br />
　もう一人が答える。<br />
<br />
「・・・・・・・そりゃ・・・・・。森の外には魔物がいるからさ、戦闘が面倒なんだよな。」<br />
「でもそれは森の西側のことでしょう？　海側には殆どいないわよ。」<br />
「まったく・・・じゃあないだろ。どっちにしろ、森の中にいたほうが面倒がなくていいんだよ。」<br />
<br />
　それから二人は黙って波打ち際に佇んでいた。まるで海から誰かが来るのを待っているかのように。<br />
<br />
　どうやら、古森にとって例外はあるようだ。少なくともこの二人を、森は受け入れているようだった。旅人のほら話も、全部が全部ほら、というわけでもないようだった。<br />
<br />
　しかし、例外はあったとしても、この古森は旅人を拒んでいるのだった。<br />
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<title>渦潮とエルフの島</title> 
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  <modified>2012-01-15T04:37:03Z</modified> 
  <issued>2009-10-01 01:00:00+09:00</issued> 
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<content type="text/html" mode="escaped" xml:lang="ja" xml:base="http://eltiria.blog.so-net.ne.jp/2009-09-30">
<![CDATA[
「あの辺りにはどんな魚がいるのかねえ？　」<br />
「渦潮のおかげで魚はいないんじゃねえかな？　」<br />
<br />
　東の大陸の北側にある国カラジウム。<br />
　その国の北端、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E6%B5%B7%E5%B2%B8&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">海岸</a>の波打ち際で男達が話し合っていた。日に焼けた肌は黒く<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E6%97%A5%E7%84%BC%E3%81%91&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">日焼け</a>しており、<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E8%83%8C%E4%B8%AD&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">背中</a>も腕も汗で光っている。<br />
　二人ともまだ若いようだが逞しい体つきをしていた。一人は立ち上がって海を眺めているが、もう一人は漁業で使うのだろう、網の繕いをしていた。<br />
　二人とも漁師だった。<br />
　カラジウムの北側の海は潮の流れが西から東で、この海岸から彼らが小船で漁に出ると必ず東へ向かって進む事になる。海岸の辺りからは潮の流れはそんなに早くはないのだが、そこから西は非常に強く、潮の流れに逆らって小船を進めることはできなかったからだ。その強い流れは海岸の西端辺りから北東へ向かって流れているので、その流れから北へ進むこともできなかった。<br />
　この東の大陸の北西にはエルフの国、フェレーラ王国のある島がある。<br />
　ところが、島を囲む海には数ヶ所に渦潮があり、船でフェレーラに渡ることは不可能と言われていた。<br />
　勿論そこへは漁に行けない。行った者もいなかった。<br />
　渦潮はフェレーラの南にだけでなく、西にも東にも北にもあるとのことだった。世界の<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E5%9C%B0%E5%9B%B3&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">地図</a>の海にもきちんと渦潮の位置は書き込まれていた。<br />
　そうしたことがあったため、出身地のフェレーラからエルフ達はどうやって他の大陸に渡ってきたのだろうと大陸の人々は不思議がっていたのだ。<br />
<br />
　エルフは昔から各大陸に少数ながらも住んでいたので、もしかすると大昔には渦潮はまだ無く、今大陸で見かけるエルフ達はその頃に大陸に渡ったエルフたちの子孫なのだ、と、多くの人は結論付けていた。<br />
　或いは、エルフは海を渡るのに魔法を使うのだ、と考える者もいる。魔法を使えば渦潮は関係なく進めるだろうと。<br />
　こうした考え方があったためか、昔話に出てくるエルフは空飛ぶ船で大陸を渡ったり、まるで翼獣人の様な翼を生やして飛んでいたりする。<br />
　また、時々とても古い<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E9%81%BA%E8%B7%A1&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">遺跡</a>などから発見される不可思議な物。<a href="http://match.seesaa.jp/afr.pl?hid=25&sid=eltiria:000278618529&k=%E9%81%93%E5%85%B7&ic=utf8" class="affiliate-link" target="_blank">道具</a>のようにも見えるが一体何に使うのか想像もつかないようなものが見つかることもあった。偉い学者などは、そうしたものを利用して便利な道具を作ることもあった。学者達は、昔は今と違った文明があり、これらの道具を使って便利に暮らしていたのではないか、と考えている。<br />
　それを使ってエルフは大陸に渡り、数々の遺跡を残したのだ、と考える者もいた。<br />
　尤も、二人の若い漁師はそうしたものには縁が無く、エルフを見たことすらなかった。<br />
<br />
　何時の時代に作られたのか世界の地図はあったので、渦潮の先に島があるということもそれから知ることができていたが、カラジウムの漁師達にとって渦潮は越える事ができないものだったため、その先の海で漁をしたいなどとも思うことは無かった。<br />
　若い漁師だからこそ、ふとそんなことが気になったのだろう。<br />
<br />
「・・・さてと。終ったぞ。これでまた夕方の漁に使える。」<br />
<br />
　網の繕いをしていた漁師がもう一人に声をかけた。<br />
<br />
「おう。じゃあ帰るか。今日は天気が良すぎるからな。休んどかないと夕方の漁の時間になっても寝過ごしそうだ。」<br />
<br />
　そう言って南中の、ほぼ真上にある太陽を見上げた。<br />
　カラジウムは赤道上に位置していたため、真昼間の時間帯は非常に暑い。そのため漁は午前中と夕方に行われていた。早い時間に日が昇り、ゆっくりと日が沈むため、１２時少し前から３時過ぎくらいまではお休みタイムなのだった。<br />
　二人は網を畳むと船の甲板に置いて、日よけの木々がたくさん植えられている集落のほうへ帰って行った。<br />
<br />
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